民法では「法定相続人」が定められており、被相続人の子等の直系卑属(第1順位)、父母等の直系尊属(第2順位)、兄弟姉妹(第3順位)と順位が決まっています。孫は法定相続人として規定されておらず、特定の場合にのみ相続人となります。
具体的には、代襲相続が発生した場合です。代襲相続とは、本来の法定相続人である、相続人にとっての子・兄弟姉妹が亡くなっている場合に、それらの子である孫・ひ孫・甥や姪が代わりに遺産を相続することをいいます。つまり、第1順位たる子が死亡している場合は、孫が遺産相続をすることになります。
しかし、代襲相続は意図的に発生するわけではないため、確実に孫に相続させるための手段とはなりません。もっとも、孫の遺産相続する方法は他にいくつかあるため、以下で紹介していきます。
■遺言書で相続人に指定する
最も簡単で確実性のある方法として、遺言書の作成が挙げられます。遺言書では、誰にどの財産をどの割合で相続させるかを、自分の意思で自由に決めることができます。よって、相続人として孫を指定しておくことで、相続順位や法定相続分に関係なく、孫に遺産相続をさせることができます。
もっとも、兄弟姉妹以外の法定相続人には、「遺留分」が認められており、遺留分とは、相続人の最低限の相続分をいいます。よって、その遺留分を侵害する内容の遺言書である場合は、孫以外の法定相続人から、遺留分侵害額請求をされてしまう可能性があります。
■養子縁組をする
次に、孫と養子縁組をする方法が考えられます。孫と養子縁組をして養子にすることで、遺産相続において「孫」ではなく、第1順位の「子」とみなされるため、子と同じ割合の法定相続分が認められることになります。よって、祖父母から孫へ直接遺産を相続させることができます。場合によっては、相続人が増えることで相続税対策になるというメリットもありますが、相続税には「2割加算」という制度があり、孫と養子縁組をしたとしても、孫が相続する場合には相続税が2割増しになるというデメリットもあります。また、親族が養子縁組に同意しない可能性もあるため、親族間での話し合いが必要となるでしょう。
■生前贈与
相続発生前、すなわち生きている間に、孫に対して財産を贈与しておく「生前贈与」も、選択肢として考えらえます。年間の贈与額が110万円以内であれば贈与税は非課税であるため、早いうちから生前贈与することで、税金対策にもなります。
また、「相続時精算課税制度」も利用できます。この制度を適用すると、孫に最大2500万円分まで非課税で贈与することができます。ただし、非課税となった部分については相続時に相続財産に加算され、まとめて相続税が課税され、2500万円を超える部分には一律で20%の贈与税が発生するため、注意が必要です。
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