相続が発生すると、多くの場合、不動産の名義変更、すなわち相続登記の設定が必要となります。実際に、相続財産の金額のうち不動産の占める割合は約5割にもなるため、相続をする際には不動産登記のなどの登記の知識が必要不可欠です。
■相続登記の種類
相続に関する登記には、①法定相続分による共同相続登記、②遺産分割による相続登記、③遺言による相続登記、の3つがあります。
●法定相続分による共同相続登記
相続が発生し相続人が複数いる場合、遺産分割協議が行われるまでの間は、遺産である不動産は法定相続人全員の共有状態となります。その場合、共同相続人の一人は、単独で法定相続分による共有持分の相続登記をすることが可能になります。これが、「法定相続分による共同相続登記」です。もっとも、遺産の共有はあくまで遺産分割協議がされるまでの暫定的なものです。よって、遺産分割前に必ずしも共同相続登記をしなければならないわけではありませんし、実際、共同相続登記がされることは多くありません。また、自己の持ち分である法定相続分については、登記がなくても、第三者に対して所有権を主張することができます。
●遺産分割による相続登記
遺産分割協議により、誰がどの財産を取得するかを決めた場合は、各相続人は、不動産の名義変更登記をします。遺産分割による権利の取得は、遺産分割時に新たな権利の変更を生じるものといえ、相続放棄のように効果が絶対的であるわけではないことなどから、登記がなければ第三者に所有権を主張できません。
●遺言による相続登記
遺言による財産の譲渡を遺贈といい、当該不動産の所有権移転について、所有権移転登記をする必要があります。また、遺贈による権利取得を第三者に主張するためには、登記が必要です。
■相続登記の手続き
相続登記手続きの流れは、以下になります。
①相続の発生
②遺言書の有無の確認
③相続人の調査・確定
④相続財産の調査・確定
⑤遺産分割会議
⑥遺産分割協議書の作成
⑦相続登記・不動産名義変更の申請
特に、遺言書の有無によって、その後の手続きや、相続登記の申請の際に必要となる書類が大きく異なってくるため、しっかりと確認することが必要です。
■相続登記の申請に必要な書類
相続登記の申請に必要な書類は、以下になります。
①登記申請書
②不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)
③被相続人の住民票の除票
④被相続人の死亡時から出生時までの戸籍謄本
⑤相続人全員の戸籍謄本
⑥遺産分割協議書または遺言
⑦相続人全員の印鑑証明書
⑧固定資産評価証明書
これらの書類には、誰でも簡単に取得できるものもあれば、取得に時間がかかったり、取得自体が難しいものもあるため、個人で手続きを進めることが難しければ、専門家に代行してもらうことも検討しましょう。
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